展はしご

朝からとても気分がよかったので三ノ輪から上野まで歩いて東博の所蔵展に行き、そのあとギャラリーをのぞきつつ日本橋から銀座まで歩く。最後にまた地下鉄に乗って乃木坂へ。気候がいいので動きやすい。

「光 松本陽子/野口里佳
最初に野口里佳さんの「フジヤマ」に入ったとき、ものごとを、じっくりと、地に足をつけて見ているひとの眼だ・・と、思わず仁王立ちになってしまった。妙な話だが、自分の卑怯さ加減が身に沁みて泣きそうになったくらい。やましいことがあるときにまっすぐ見つめられるとイタイ、あの感じ。喩えになってないか。それぐらい正面切っているというか、逃げがないというか・・・うまく言えないけれど。
「水をつかむ」のような作品も、そのことの発露だと思う。
これからもずっと見続けていくだろうなぁ・・・と思った。このひとの表現をリアルタイムで体験するのは、とてもわくわくすることに違いないから。

松本陽子さんの絵では見慣れたピンクの作品もだが、ドローイングに強く惹かれた。ドローイングの中にも、あの世界は存在していて、塗りつぶすということが必須条件ではないのが意外な感じがした。一番新しいグリーンの作品の、その転換ぶりに驚きつつ、励まされるような気がする。そこになじめるかどうかは、今はまだよくわからないけれど。

展覧会のカタログが素敵だったので奥付をみたら、「アートディレクション・デザイン中島英樹」とあった。なるほど。初めてちゃんと、その仕事を見ました。


西村画廊「Drawing & Print Show2009」
最終日の午後だったせいか、行ったときには半撤収という感じだった。樋口佳絵さんの作品も2点出ていると聞いていたけれど、1点だけ。前回このドローイングをみてから半年しか経っていないのに、ひどく懐かしい感じがするのはなぜだろう。
先月の放課後のはらっぱ以来、小林孝亘ささんの絵が気になっていて、正面を向いた金魚の絵としみじみ向き合った。


杉本博司「Lightning Field」
小柳ギャラリーへ。
黒と白からなる世界は、含みがあっておもしろい。こういうものがみえ始めたら、そっちのほうへどんどん進みたくなるのもわかるなぁと思った。おもしろいとは思うけれど、自分の好みとしてもミイラ取りがミイラにというか(?)、なんとなく深入りしてはいけないような気がするのだった。