横浜開港150周年記念独演会 〜喬太郎 創作落語〜

にぎわい座へ行く。
こぶりのコクーンみたいで好きな感じ。

「もう疲れたから寝ながらしゃべりたい」のマクラではじまったのだが、言葉ほどにコンディションは悪そうに見えず、いっそ、今までみた中で3本の指に入るほどよく見えます。というぐらいだった。
羽織を脱ぎ捨てたり絶叫したりと、好き放題やっているようで、シンからぐずぐずになっていないし、どこかがビシッとしていてゆるぎない。
もう一方は冴えている。というか。
ぎりぎりのところでバランスが取れている。
そういうときの高座って、噺とかとは関係なしにほれぼれするのだなー。
時間オーバーと言いながら入った擬宝珠も、かえって丁寧というか、くっきりするところがくっきりしていて、何度も聴いた話なのにいつになくおもしろかった。

市馬さんは船徳。朗々とうたう若旦那の能天気ぶりが好き。
この前の二人会のときもそうだったけれど、市馬さんの話に予定調和外の傾向が増えてきて、新鮮で楽しい。行儀がいいから外れても程よいのだろうか。

そして、開港150周年記念落語というのがすごかった。そんなベタなテーマにもかかわらず。
うまく言えないが、今の喬太郎さんならではという感じがとてもした。150年前と今とを鮮やかに行き来し、きれい事ばかりでもなく、「満身創痍だよ!・・・でも生きてんだ」ときて、落語らしいさげもついている。そして、火事の場面の迫力と言ったらば。

結石移動症もそうだけれど、体をはって働く女のひとのことを、ひととして肯定しているところも、なんというか、好きなのだ。そういうことを話の中に織り込むのも喬太郎さん独特だと思う。

この話も、これからさらに練り上げられていくのだろうけれど、やっぱりすごいひとだねぇ・・・とおっさんのように思った。
とりあえず。
現時点でも。
その素晴らしき才能を全うできますよう。切に祈る。