4月文楽公演 初日

この日は「寿式三番叟」と「義経千本桜・三段目」をみた。
ついこの前20周年と言っていた気がするけれど、もう25周年なのか。こんなことを言い出したらトシだな。
「寿式三番叟」は、そういう節目のお祝いにぴったりのだしものだと思う。そして、その意味合いで三番叟を遣うとなれば、今はこのおふたり以外には考えられない。なんか本当にもう、よろしくお願いします。という気持ちでみた。カラーの違い(いくらかしらが違うといってもここまで影響は及ぼさないだろう)が、これでもかというくらいあらわれていて、おもしろい。
翁は、なにしろ翁なので、一筋縄ではいかないだろうと思う。千歳もやっぱり千歳なので。

そして、床の世代交代の進みように面食らい、またまた自分のトシを感じる。
綱大夫さんの翁は、本当に翁らしく、玉女さんと勘十郎さん以外に三番叟を考えられないように、翁は綱大夫さんでなくてはと思った。聴いていて自然に頭を垂れるような翁なのだ。清治さんの三味線も、特に翁のところでその威力を発揮していて、久しぶりにしびれるなーと思った。

私にとって、すし屋の維盛歴代第1位といえば玉男さんだ。「弥助実ハ維盛」を、玉男さん以上に体現したひとを知らない。でも今月の紋寿さんは、それに相並ぶ勢いで(もちろん体現の仕方は違うのだが)、久しぶりにぴりっとしたすし屋を観た。そして簑助さんのお里・・・。今までよくわからなかったお里という役が、やっとわかったような気がした。話の中に、1本、柱がまたぴっと立つようであった。
玉也さんの権太は、初日だけにちょっぴりジャブっぽく、これから日が経つにつれて色んな色がでてくるのだろうなぁと思った。

床は住大夫さんが、数年前と変わらずバリバリと語ってはったので、なんとなくホッとする。錦糸さんの三味線が、少し丸くなったようだった。まだはっきりとはわからないけれど、それはよきことのように思う。
お楽しみの四の切は、また今度。