末広亭二之席夜の部

暮れからやたらに小三治さんが聴きたくなり、それがあんまりしつこいので二之席へゆく。間違いなくビョーキだ。
末広亭に入るとちょうど昼の部が終わるところで、初めての場所に浮き足立ちながらもちゃんとかぶりつきに座っている自分・・・。
だって、初めて小三治さんをみるんですよ。
って誰に言い訳してるんだか。
かぶりつきに座ると、出の前の「ご苦労様です」や「よろしくお願いします」や、色んな声が聞こえてきて、袖というものが大好きな私はそれだけでわくわくする。
権太楼さんのときは、ずい分賑やかだったなぁ〜。疲れてるからといってクルージングの話だったのだが、どこまでも明るくて勢いがあり、やっぱり好きだなぁと思った。

時々はダレながらも遊園地にいるような時間が過ぎ、トリの小三治さん。
出の途端、横目で客席をちらっとみて口元をゆるめたその表情がもうよくて、ああ、こりゃいかれたなと思った。
話はずずっとそれるが、マクラで“亀戸天神のくず餅”の話が出て、前の日の刀屋といい、2日続けて聞かされて私はもうすっかり“亀戸天神のくず餅”のとりこであった。帰るまでに亀戸へ行く時間はないか・・・と考えてみたがあるはずもなく、今度きたら絶対食べるぞと誓う。バカだな・・・。
それはともかく、噺は茶の湯
なんかもう、たまらん!と思ったのは、ご隠居が一心不乱に青黄粉をまぜるところで、そこにいるのは間違いなくご隠居、青黄粉しかみえていない実直なご隠居、そのひとが青黄粉をまぜているだけで、こんなにおかしいなんて。
そんなことは瑣末というか、ただの一端でしかないのだが、その後ろにあるもの、そうさせているものには、とても言葉が及ばない。一端をひろってゆくことしかできない。
決め台詞(?)の「風流だなぁ〜」の力の抜け具合といい、しびれどころは多く、なんというか・・・終わる頃にはもうほとんど骨抜きであった。