昼席ラッパ亭 柳家喬太郎独演会

歌舞伎や文楽だけのときはそんなことはなかったけれど、落語だと色んなところに行かされるなぁ〜と思いつつ、新宿・紀伊国屋ホールへ。
初めてのところに行くと、つい、匂いをかいでしまう。
自分がやるわけでもないのに、犬のように匂いをかぐ。
いい匂いだった。客席両側の壁にあるオブジェのようなのも、やたらに好きな感じだった。公演直前に取ったので1番後ろの席だったけれど、そこから眺める客席&舞台の雰囲気はなかなかで、ちっともがっかりさせられなかった。始まる前からよい気分。

正太郎 「からぬけ」
喬太郎 「お札はがし」
トーク
喬太郎 「ハワイの雪」

舞台セット(千葉のペンションらしい)の真ん中にこしらえた高座で、ご自分を悪天候で暇をもてあました客によばれた噺家に見立てて、牡丹灯籠が始まった。
お露・新三郎と聞こえてきたときの嬉しさといったら。
不完全燃焼の昨日の今日で、これは相当嬉しかった。
いつも笑いたいとは限らないし、もっと言えば、提供されるものが上等さんであればなんでもかまわない。

その下駄の音は、
カランコロン。カランコロン。と、
文字にすればこうなんだけれど、耳に届く時にはもっと繊細で、複雑で、美しい。
このひとの、どこからこんな音がでてくるのだろうと思う。
この下駄の音を聴けただけでもオラは充分ですという感じ。
欲深いので、ホントにそれだけだと寂しいのだが。

ハワイの雪は、なんとなく知っている初めて聴く噺。初めて聴くときは、たいてい楽しいものだ。その楽しさを享受する。

そして、舞台セットの様々なところから現れ、引っ込んでいく、喬太郎さんの飄々とした様子がおまけのように楽しかった。