円朝まつり2010 奉納落語

はじめが円丈さんの「代脈」。(そういえば、福扇の副賞は円丈さんの手ぬぐいでした。のし紙がかわいかった。)おもしろくないのとは違うが、どこの時点かで時がとまっているようです・・・と思った。なんでだろう。単に「ハエハエカカカ、キンチョール」を何度も聞かされたからそんな気がしただけで、本当はとまってないのかもしれない。
扇橋さんの「心眼」はさらさらとしていて、或るところは淡くまた或るところはさらに淡くという感じだったけれど、満願の日になっても眼があかないことへの恨み言はさすがに鬱屈をまとって粘り気があった。その後はまたわりと淡々。
これに限らず扇橋さんの噺はリアリズムからは遠く、寓話というかおとぎ話のような感じがする。大まかに言って具象というよりは抽象だ。ただ、世の抽象なるものがそうであるように核心に対しては結構ストレートなのではないかと思う。リアリズムからは遠いけれど、ほんとうには近いというか。時々聴いている最中に「あ〜〜、キモだ〜〜!!」と思うのだ。なんの肝だかは説明できないが。座るようにして高座を下りる姿をみながら、やっぱり扇橋さんは好きだなぁと思った。
私が普段出かけるようなところではとても扇橋さんの「心眼」は聴けそうにないので、譲ってくださった方に心から感謝している。ここをご覧になることはないだろうけれど、本当にありがとうございました。