束芋「断面の世代」

アーティストトークの合間に会場を回る。
巡回するのを知らずに横浜へ行って、後で勇み足だったかな・・・と思ったのだが、両方観る面白さというのがやっぱりあって、意外なくらい楽しめた。横浜のエントランスで豪快に展開されていた団地層は天井を見上げる形になり、内容も少し変わっている。団断も細かいところが少し変わっていたような気がしたのだけれど、これは確かではない。でも一番変わったなと思ったのは、会場全体の印象だった。映像を上映する場所だけでなく会場全体が暗闇の中にあり、鑑賞者が皮膚の下で境界線の下で、うごめいているような感覚があった。
作品と作品の間をもその世界を肌で感じつつ歩く。それは肌から侵入する。けれど、その世界そのものは、見かけほどにはおどろおどろしくないのではないだろうかと思う。手法としてそうなだけで。
作品と対峙していると、何かに届きそうでなかなか届かない。だからといって焦れることもなく、とことん向き合いたいと思いながらそこにいる。久しぶりにそういう作品に出会った。