森山大道展「Northern」

これをなんと言葉にすればいいのだろう・・・と(できやしないのだけれど、できないなりに)、しばらく作品を前に考えてみた。言葉は得られず、背筋をのばして対するのみ。むつかしい。
ひとつひとつの写真が、8ミリフィルムのワンシーンを切り取ったようにくっきりしていて、そのシーンのバックとなるストーリーの存在を感じる。それは、別々の話のようであり、ひとつの話のようでもある。力強く語りかけてくる。行きずりの写真ではない。

中央に入れ子のように金網のフェンスが設置されていて、はじめは、それ越しに作品をみる。金網と作品との間にスペースがとられているので、直にもみることができるけれど、金網越しにみてしまうと、直には戻れない。これが川久保玲さんの流儀なのだなと思った。のるまいと思っていてものらずにはいられない。

本当はいつだって、作品とみるものの間にはフェンスがあるのかもしれない。越える意志があるものには、越えられるだけの。ただ、たいていのものはそれを越えずに、こちら側でみているような気がする。

Sixは、行くたびに素敵だ。このようなスペースがいつでも行けるところにあるなんて、幸せだ。