アーティストファイル2010

斎藤芽生さんの作品が出ているVOCA展と迷いつつも、会としての雰囲気がより好みだったのでこちらへ行く。 好きなひとばかりを観ていると色んなことが偏ってしまうので、グループ展は息抜きになる(独演会の合間に寄席に行くようなもの?)のだが、この会はそのわりに個々の作家さんをちゃんと観ることができるので好きなのだ。
平日の朝いち。誰もいない。

ことばとアートというのはまだ私の中でまじりあわないので、福田尚代さんの作品を観ていくのはなんだか複雑な感じだ。でも、結局すみからすみまで観てしまう。なんなんだ。「浮島」は箱庭療法みたいでおもしろいと思った。

そして、石田尚志さんの部屋でしみじみ観ていたら、小学生がキャッキャ言いながら通り過ぎていった。あの子たちの目には、どんなふうに映ったのだろう。小学生のときの自分がこの作品をみたら、どんなふうに思っただろう。わりにつまらない子どもだったから、足も止めなかったかもしれない。そういう点では、年をとるのもいいことだなと思った。

あと、斎藤ちさとさんの写真もじっくりみた。泡のひとつひとつに対象がうつりこむって、すごいことではないだろうか。でも、普通に生きていたら気づかない。不思議だ。・・・って、思うことは未だ小学生並み。

自分の手法をみつけたなら、世間の評価はさておき、その道を進んでいくというか、掘り下げていくというか、とことんまで行くのがいいのだなぁと思う。そのまま一生評価されずに終わるとしたら辛いし、井の中の蛙との区別をつけるのはむつかしいけれど、どちらにしろ、答は自分の中にしかないような気がする。
一生というトータルでいえば、自分の中の声を、注意深く、正しく聞くことのほうがむつかしいし、大事というか・・・。ここのあと、池袋演芸場喬太郎さんの高座をみながら、そんなことを考えた。アートも落語も表現するという点では同じ。