葛の葉子別れ/蘭菊の乱れ

繁昌亭の帰りに寄ったので、夜の部も途中から。繁昌亭→日本橋って、大阪のおっちゃんの王道って感じがするな。

葛の葉子別れは、歌舞伎のとごっちゃになっていて、おやおやおや・・・と思っているうちに終わってしまった。それにしても、段切れの葛の葉・・・ぬいぐるみなのになんでそんなに哀しいんですか!文雀さん!と、いっそ問いただしたいほどだった。ぬいぐるみを見て泣けるって、よく考えると尋常じゃない。
いつも言うけど、紋吉さんは大好きです。この匂いをこわさずにずっといってほしい。
嶋大夫さんと清友さんの床は、なんとなく、合わないのかな・・・という感じがした。

そして、蘭菊の乱れ、だ。
結論をいうと、かなり好きかもしれない。
まず曲が好き。派手だけども哀しい。
演奏もそこをピタリとおさえていて、しかも理屈っぽくなかった。説明的に過ぎないといえばいいだろうか。清治さんが若手のひとと対等の位置で若々しく弾いてはったのもいいなぁと思った。対等の位置でって、できそうでなかなかできない気がする。
次に絵面が好き。
葛の葉の着物の柿色や、あわあわとした菊の感じ、遠景の信太山
そしてやっぱり文雀さんの踊り!だ。!を、三つつけても足りないくらい。
ストーリー的になにかが起こるわけではない、淡々と葛の葉の心情がつづられて、それで終わる。どこにも行かない。でも、観終わった後に何かが残っている。
関寺小町もそうだが、文雀さんの作り出す「一見閉じているけれど普遍的な世界」をほんとうに素敵だと思う。また観にいきますぜ。