池袋演芸場 8月上席

「世の中、なにか間違ってる・・・だってねぇ、こんな日に、こんな場所に、こんなにひとが集まるはずがないんですから」
って、今まで同じようなことを小三治さんが言っていても、ネタだと思ってげらげら笑っていたが、この日はさすがにそうかもしれないなぁ・・・と思った。なんだかすさまじい行列だった。そういう自分からしてその「間違った世の中」を体現しているに違いないのだが、同じ踊るにしても踊らされるのではなく、自らの意思で踊っていたいものだ・・・と思う。まぁ、傍からみれば同じことだが。

好きな噺家さん・色物さんが多くて、時のたつのが早かった。こういうときの寄席は至極素敵なところだ。喜多八さんの「たばこ好き」、どこまでも追いかけてくる爺がこわくて、でもおもしろかった。昼の部にかわっていたさん喬さんは、中入り後にすーっと出て、きゅっと客席をまとめ、ちゃんとうけていて、さすがだなーと思った。
この違いはどこからくるのだろう。と、このごろよく思う。

小三治さんは、なんというか、とめどなく発散(?)していた。「We are the World」のメイキングビデオがいかに素晴らしいかという話の、ブルース・スプリングスティーンシンディ・ローパーの真似っぷりにも「とめ」がなく、そんな際限のない小三治さんを私は初めてみたので、ほぇ〜〜と思った。あの独特の間といい、「とめ」は、常に、どこかに、あるような気がしていたから。意外でもあり、おもしろかった。「千早振る」の浪花節もぶっとんでいて、思わず吹き出してしまいましたよ。私の中では、福笑さんのに次ぐインパクトだった。夏なのに際限がないって、頼もしくていいなと思う。