立川談春独演会

桜木町にぎわい座へ。談春さんを聴くのも久しぶりだった。その、勢いというか聴くひとを魅了してやまない感じ、志らくさんとも共通するクリアさ、他では聴けないものを出せること・・・もっと頻繁に聴きたい噺家さんだけれど、やっぱりなかなかむつかしい。

談春さんの高座で素敵だなと思うのは、地の部分の語り口だ。あんまり久しぶりで忘れていたのだが、中でも、情景を描き出すときが冴え冴えで、ちょっとくらくらした。
たとえば、初めて狸伊之助が登場するところ。
夕日に照らされた縁先に一陣の風、桜の花びら。
いかにも何かが起こりそうな、何が起こってもおかしくないようなとくべつな夕暮れ。
このあとの初五郎の粗忽ぶりもほんとうにおかしかったのだけれど、私にとってはココだったなーと思う。

蒟蒻問答は、ある意味理想郷の世界で、ご機嫌な気持ちになった。落語ならではというか。鄙の匂いが少しするところも好きだった。

幕が開くと黒衣装の談春さんが座っていて、もちろん望むところ!なのだが、びっくりした。このひとを追っかけると、いつもこういう留まらない世界を楽しめるのだろうか。生ものって感じがする。