池袋 2月上席

寄席のトリで出る喬太郎さん・・・というのをみたかったので、今月も池袋。おまけに他のメンバーも聴きたいひとばかり。夜トリは権太楼さんなのだー。というわけで、こもる。

この頃はトシをとったのか、小菊さんの都々逸が身に染みる。じっくり聴きたいなぁと思うけれど、客席の雰囲気によってできる日とできない日があって、なかなかデリケートなのであった。これじゃ猫に小判だ!という感じのときがあったりするのだ。まぁ、猫であるお客さんにも罪はないのだが。

そして、なんと初・文左衛門さんだった。
かけちがって聴いたことがなく、初めてです!と心の中では正座する勢いで待っていたら、二日酔いなんだよーと土気色の顔であらわれ、寄合酒でリアルに排出物もどきを登場させていて、気持ちがというより体が引けた。匂うはずがないのに、ひきの姿勢で物体を凝視してしまう。春団治さんの寄合酒しか聴いたことがなかったのだ・・・軽いカルチャーショック?
それはともかく、やっぱり吸引力はあって、そうしておもしろい。まだまだおもしろくなるんだろうなぁと思う。それに、福笑さんに比べたらカワイイものだ・・・。

あとはさん喬さんのねずみが聴けたのも嬉しかったし、楽のご馳走という感じの菊之丞さんのほうじの茶もめちゃめちゃ楽しんだし、一九さんや志ん馬さんがなんだか気になったりして、日々あっという間だった。喜多八さんもだ。書き出すときりがない。
そして、正楽さんに惚れ直す。あの、あっさりしたところ?遠慮のないところ?軽妙なところ?どの言葉もぴたりとはあてはまらない、ただひたすら、いいなぁーと思う。両手をあけて、ふせて、おじぎ。このリズムごと愛す。

そうそう喬太郎さんだった。
寄席のトリというのは、やっぱり特別なものなのだなと思った。看板にはさらっと書いてあるし今まで考えたこともなかったが、なんたって「主任」なのだ。
そういうもろもろについても書き出すとキリがないのでやめるとして、未だに頭から消えないフレーズがふたつある。ひとつは、鬼背参りの
「月みてホロホロ泣くんじゃないよォ」
しぼりだすような若旦那の言葉に月夜に浮かぶおみつの悲しい姿が重なって、必殺の台詞だ!と思った。もうひとつは、
文七元結が聞けると思ったら大間違いなんだよ!」
これぐらいは、ネタでなしに本気で言っていいと思います。